ドイツで鍛える生活 3巻

ここまでのいきさつを読んでいない方は前書きから順にどうぞ。

 

 

1. ここ1ヶ月の珍事総集編

1.インターネット、超努力しないと繋がらない。
引越しに伴い、ネットを2年契約した(ドイツは基本2年契約)。
なぜか私のコンピュータでは簡単に繋がらず(でたーっ)。
一度電源を落とす度に繋がらなくなり。
電源を落とす度、再インストールとかいろいろやり。
2時間くらい格闘しないと繋がらない…。未だ同じ。

2. 新居に電気が通っていなかった…。
基本ハプニング体質としては。
いろいろ確認しておきたい。不動産屋に。
『電気は使えるようになってますよね』
『もちろん!すぐ使えます』
という会話が引き渡しの3日前になされたにもかかわらず。
電気が止められてた…(だから言ったのにーっ!)。
電力会社の工事のおっさんが来る事態に。

3.  自力で洗濯機取り付け (詳細: ドイツで鍛える生活 2巻
配達から取り付けまで業者がやってくれる約束だったが。
「あー。これは長さたりないねー。部品も足りないねー。
僕たちはできないから」と。取り付けてくれなかった…。
ホームセンターに行ったり来たり。洗濯機を自力で配管。
洗濯機開始まで要した時間8時間。
格闘しすぎて、翌日死亡。

4. トイレの配管から水漏れ。
大惨事になる前に。
ハウスマイスター(管理人)が直しに来ることになった。
が。じゃあ、朝7時30に来ますと…。
え。約束が朝の7時30って…。なんですかー?
翌朝、本当に早朝7時30に来た。
水漏れは直り、一件落着。

5. くだんの繋がらないネット、解約できず。
先に述べた件、(No.1)。
購入した店で辞められるとのこと。
辞める気マンマンで店に行ったら。
2年契約なので辞められないよ…。と。
ガーン。
つまり、繋がらなくても2年間は月々25Euroを払うのだ。
あり得ん…。もうこのネット問題、戦い疲れた。
というわけで、この件。未解決。

6. 誕生日ケーキ空振り事件…
会社では誕生日の人がいると。
朝、ケーキをキッチンに用意する。
で。誕生日当人は。
『今日はボクの誕生日だから皆、ケーキ食べてねー』
みたいなメールを全員に流す慣習がある。
そして。私の番。なんかこういうイベント。
面倒くさいなーと思いつつも、出勤前に。
確かcakeってホールの時は数えられる名詞だったけか?
と、辞書なんかで調べちゃったりなんかして…。
ケーキ食っているところとか想像しちゃったりして…。
しかーし。
なんと!ケーキは用意されていなかったーっ!
ってわけで。
誕生日であることを隠しつつ一日を過ごした。

(そして、数ヶ月後、ケーキは会社が用意するのではなく、誕生日の人が自ら持って来て、『今日はボクの誕生日だからケーキ持ってきましたー』と、自ら率先して祝うという風習であることが判明。はー。すべて自分で主張するわけね〜。というか、私の上記の待ち体勢、イタすぎであった…)

                    * * *
あー。いろいろありました。この1ヶ月間。

(ドイツ到着からは3ヶ月ほど経過)

いやー。想像したことは起きません!

駐在員の奥様とか.
 一人でない人は全部人にやってもらって。
いいわねー。と思うものの。
それはそれで籠の中の鳥であり。
それなりの苦楽とhappinessしか得られないわけで。
大海原の苦楽とhappinessは得られないのです。
そして。
それはいつしか身体の表面に『雰囲気』として現れるわけで。
激しく磨かれれば磨かれるほど。
研磨剤でいっぱい擦ると光るように。
その『雰囲気』とやらは光ってくれるのではないかと…。

 ン!? あれ。
いくら磨いても原石もよくないと光らないか…。

やれやれ。

家がなんとなく出来てきましたー。居間。なーんもありません。
現在。ギターケースがテーブル。
ローテーブル、自作予定(笑)外観は鍛える生活の2巻を参照。

居間についているキッチン。3つ扉があるが、左から、オーブン、物入れ、冷蔵庫。

撤退時を考えると家具を買うのが恐ろしく、手作りウォークインクローゼット。ってか単なる廊下。壁に穴、開けまくった。スーツケースを寝かして引き出し代わり。

寝室兼ヨガ練習場

 

 

2. 大いなる目標

私には大いなる目標がある。
実は。『今生を最後に人間をやめよう』
と思っている(笑)。
ま。言ってみれば、
イチローより大きな目標があるわけです。

そんなわけで。
日本でヌクヌクと暮らしてもよかったのだが…。
わざわざ障害がたくさんあるであろう道を選んだ。
もしくは無理矢理仕組まれたとも言うが…(参照:失業ブルース
ともかく。
『もう。君は人間界で十分修行しました。卒業!』
と言われたいのだ。
今回で終わりにするのだー。

というわけで。
日々のトラブルも早く卒業するための。
『特訓ドリル』だと思っている。

あー。しかし…。
また生まれて来たら、わたしゃ泣けるー。
ンっ?!赤ん坊は皆、生まれて来たとき泣いている…。
そうか。皆。
「またかよーッ!やり直しかよーッ」って泣いているのか。
なるほどねぇ…。

そして。今日のドリルは。
『ここ1ヶ月の珍事総集編』で述べた
例の2年契約の動かんネット問題の解決。
同僚のIT開発者も見てくれたがダメ。
もう解約しかないがその解約が手強い。
こちらは同じ店でも担当者ごとに言うことが違う。それが常識。
既に2店舗あたったがダメ。今日は別の店舗へ。
一歩、日本を出れば。とにかく日々、交渉交渉。

さあ。今週末もトラブル解決!
いくぞー。ドリルを解かんことには。
ゴールはないのだ!
ま。そのドリルを解いてもまた次があるのだけどね。
(もー。疲れるッ!この生活!)

p.s.イチローは今生で終わりかもな…。いいなー。

 

 

3. 基本、複数形社会

『堅実』の同義語『ケチ』。
『堅実』もしくは『ケチ』と評判のドイツ人において。
生活の基本は常に。
自分たちで何とかすることである。

つまり。引っ越しなど。
自分たちでなんとかできるものは自分たちでやる。
金は払わん。で。ポイントは。
『自分』でなく『自分たち』なのです…。

ここの生活で何が大変かというと。
すべてドイツ語でこなさないといけない。
というのも人生ドリルを難しくしている要因の一つではあるが。
それよりももっと大きな問題がある。
それは。『自分たち』というこの複数形ベースである。

一見、会社員として普通な生活を送っているが。
三途の川を渡る大きな引越しをしたもので (参照:ドイツへ引越し)。
普通の人が持っているような生活物資。
布団、マットレス、洗濯機、掃除機、机などがない。
で。毎週末のように買い物し続けているのだが。
ここで金で解決できない問題と常に対峙する…。

あー。これも必要…。
でも。持てない…。持って帰れない…。
配達か…。でも。土日は配達なし。
平日は会社にいるから受け取れない。
日にちも時間も指定できない。
再配達もしてくれない…。

しかし。これは。
荷物を一緒に持ってくれる人や。
家にもう一人いて、荷物を受け取ってくれる人がいれば。
簡単に解決される問題であって…。
つまり。
街自体が1人で生きるように構築されていないのです。
そこをムリヤリ1人で生きているからすごーい大変なわけです。

この国に住むということは。
お気軽にパートナーを作り生活ベースを複数形にするか。
配達あるから明日、会社来れないかもー。
みたいなことを月に数回できる図々しさか。
または。大きなものを買ったんだけどさあー。
ちょっと運んでくれなーい?
と気軽に人に頼める太い神経がなどが要求されるわけです。
(たとえ、友達というほどの仲でなくても)
そして。周りのドイツ人たちは。
上記すべてをちゃんと持ち合わせているように見受けられる。

私は。自分のことは自分でやる。
そして。自立すること、していることが。
働く意欲であり生きるエネルギーであった。
それを糧に20歳から16年間ずっと自立し続けてきた。
そう。私は養われたら死んでしまうのだー。

しかし。そんな人に。
今、実は与えられている人生ドリル…。
それはおそらく…。
人に頼むこと。頼ること。

これがねー。
女子として生きてきていないもんで。なかなか苦痛で。
今、私に求められていることは。
工具を揃え、配管や配線と格闘することではなく。
毎回、重い荷物を一人でえっこら運ぶことでもなく。

「きゃー。できなーい。やって~」
と人に言うことなのです。

あー。やれやれ。
人生、がんばって独りで何でもやってきて。
その結果。要求されていることが。
「きゃ~」と女子っぽく言うことかと思うと。
あー。やってられません。ホント。

でもやっぱり工具セットは欲しい…。

 

 

4. あの世の狭き入り口と関門

ふと。ここは北海道のどっかの田舎街なんだ。
と思うことがある(北海道行ったことないが…)。
つまり。
東京からドイツ、リューベックに単身赴任するということは。
街の規模や寒さを考慮すると。
東京から北海道の小さい街に単身赴任するのと同等なわけです。
そう。私は釧路に引っ越してきたのだ(それとも網走かしら?)

しかーし。外国となると。
外人の友達もすぐできて楽しそう~っ!
というのが世間の想像力であったりする。
(注:ここでの『想像』の外国は欧米を意味する)

で。この想像力の根源は。
明治維新から。欧米に追いつき追い越せと。
日本人の心に深く刻まれた欧米至上主義DNAが。
なんとなくそう思わせているのであるが…。

しかーし。よーく考えてみてほしい。
学生でもなく大人になってから。
その土地に単身で行くということは。
もう既に。そこでの生活の基盤がある人々の中へ。
そこでの生活が確立されている人々の中へ。
一人で入っていくことなのだ。
学生が皆、同時にスタートを切るのと同じではない。
皆、家族も友達も既にいてその輪の中で生きている。
当然、入り込む隙間なぞない。
で、そこへ入り込むには。
ちょこっと刺した穴が時と共に腐敗し大きな穴になるように。
じわりじわりと自分のスペースを広げ入り込むしかないのだ。
それにはながーい年月がかかるわけです。

とうわけで。日本の皆さん。
外国だから。外人だから。
すぐ友達になれるとかはないのですねぇ。

ま。その前に。
言語障害(ドイツ語)もなんとかせんと。
その隙間も広がらないのであるが…。

そう。これも誤解があるようだが。
ドイツは英語も通じるんでしょー。
という根強いイメージもあるが…。
いや。ドイツはドイツ語です。英語では暮らせません!
英語では電話、インターネット、電気も申し込めません。

しかーし。もうオバハンなわけで。
『ゲップをする』というドイツ単語を覚えるのに2日もかかった…。
(↑覚える優先順位がまちがっているが。そして2年後の今。もうこの単語は思い出せない…)えらいこっちゃ。
週末、お友達から電話がかかってくるような生活まで。
数年はかかるといったところか…。
やれやれ。

でも。みうらじゅんも (注)
独りの時はとことん独りであれ!
と。説いていたではないか。
そのほうがオモロイ人間になると。
そうだ。じゃあ。
その間、おうちでギターの腕でも上げるかね。

 

(注:最近はみうらじゅんとか、リリーフランキーという名を女が出すと、
サブカル女とか言われて嫌われるらしい、まったく…、女は色々大変〜!)

 

 

5. 日本の芝生は青かった

イースターに入ったので。
夏服や物を取りに行くがてら。
1週間ほど休暇で日本に帰った。
おー。シャバだ!シャバですよー。

成田へ着いたとたん。
携帯でメール送りまくりーの、返信しまくりーの。
成田エクスプレスに乗っている1時間半、
ずっとメールしていた。
そう。これなんですよ。あー。なんか戻ってきた!
たぶん。自分が本来いるべき場所へ。
待ってくれる人たちがいるこの世ヘ。
マイ・ホームタウン。
そう。これが本来のあるべき姿なのだ。

というのも。
ここ、リューベックに来てから。
家探し&引越し手続きで携帯が必須だった時もあったが。
それ以降。
私の携帯使用量は、毎月50セント程度(60円)。
いかにこのゲルマン社会に入れていないかがよくわかる。

で。久々のシャバ、日本では。
毎日、昼から夜中まで。人を変え、場所を変え。
一日中しゃべりまくった。
いやー。シャバはやはり楽しい!

というのも。
「日本は暑いの?」とか。
「東京はどれくらいの人口なの?」とか。
そんな会話はもういいのです!
もう年を取ったら深い話しかしたくないわけです。
しかし。外国にいる以上。
そういう会話はついてまわる。

ドイツで就職し、暮らすということは。
一見、バージョンアップされた世界で暮らすようにも見えるが。
実は。ものすごーく低レベルな世界で生きているとも言える。
だって。『スシ以外、なに食べるの?』とか。
そんな質問。日本にいたら小学生でも聞きませんわ。
外国で暮らすということは。
会話レベルをそこまで落とし、
日々トンチンカンな質問に答えることでもある。
ま。それがこちらの学びにもなるわけではあるが…。

そんなわけで。1週間のシャバ生活。
隣の芝生の方が青く見えるのが人間の性という例にもれず。
日本の芝生はとても青く見えたのだが。
ここ、リューベックの芝生も青く見えるようになった時。
私はこの土地を離れ、
日本に帰還することになるのだと思う。
人生とはおそらくそんなものであろう。

その時まで。
『深い会話』というエンターテイメントは。
お預けか。はたまた。
それをここでも可能にするのがここでの人生ドリルか。

修行は続く…。

 

ドイツで鍛える生活 4巻