ドイツで鍛える生活 6巻

ここまでのいきさつを読んでいない方は前書きから順にどうぞ。

 

 

1. 想像するが負け

私の座右の銘(?)

自分の努力と無関係な場合。

想像した事は起きない

(2)自説: 想像したことは起きない

 

たとえば。ヒコーキで。

隣にイケているお兄ちゃん or お姉ちゃんが偶然座って。

そっからなんか始まったりして~。

なーんて想像した時点で。

君。それは確実に起きない。

そーゆのは想像しない邪心がない人にだけに。

不意に訪れるものなのだ。

なもんで。間違った対策かもしれんが。

私は。日々、悪い事を想像しておく

自説: 想像した事は起きない

 

先日。わけあって。

洗濯機用の蛇口を一度閉めたのだが。

それ以来、その蛇口からは。

水が出なくなってしまった。

ホースを外し蛇口を捻っても全く水が出ない

でた。トラブル体質発揮。ガーン

 

洗濯機のある生活。

これを手にいれるまでは長い道のりだった。

そして。

生活とはここまでコントになり得るのか。

というくらいの労力を使った洗濯機の設置。

(参照: 鍛える生活2巻:『5.配管と配線と女の価値と』

それからたった4ヶ月。

今度は水が出ない

自力での修理もギブアップ。

もー。悔しいやら悲しいやら。

結局。管理人が翌々日に来てくれる事となったのだが

 

ここで新たな問題が

これだけ『蛇口から出ないんです!』と主張しおいて。

水が『ジャー』と出てしまったら目も当てられない。

最悪の事態を想像し、その日から。毎日。

2時間置きに蛇口を開けては。

『よし、やっぱり出ない』と確認。

(なんか期待値が逆であるが

当日の朝も。管理人が来る30分前に最終確認。

『よし。やっぱり。水は出ない』

そして管理人が来た。

 

『ほーら。水が出ないでしょ』と、

私が蛇口を捻った瞬間。

出た。水が

『ジャー、ジャー』って出た

……

 

あり得ん。なんじゃー。

このオチを与えられる人生はー。

 

で。その瞬間。何か。

自分の後ろで(いや、上かもっ!)

何かが高らかに笑っている気がした。

やられたー!

 

絶対、誰かが上から見ていて。

すべて見透かし、何かを操作している

頭の中も何もかも見透かされている

想像したら起きないから。と。

邪心で想像を操作しているのも見透かされている

 

この摂理を回避するには。

無心になること。

見透かされても何も見られないこと。

そう。目指すはやっぱり『無』!

この蛇口事件を通して。

無心になることが人生の鍵になる。と。

体感したのでした。

 

ま。今回。絶対。

天では誰かが笑い転げていたに違いない。

いたずらすぎる

 

私は。無になりたい

 

2. 修行の結末とは

ボクは家族と友人がいる土地で暮らしたい。

彼らが一番大事だから。

 

7年前。

オーストラリアの砂漠のど真ん中で。

とある旅人のデンマークの青年が言った言葉である。

 

          * * * 

 私の休暇は。

都会に出ることに焦点が当てられている。

まあ。言ってみれば。

都会の人が自然へ逃避して充電する逆バージョンで。

多様さを受け入れる社会と。

おしゃれに気を使うそのパリっとした雰囲気とかで。

私は。都会にて充電されるわけです。

 

そんなわけで。今回。

お友達もいるしー。と。

デザイン王国、フィンランド。

ヘルシンキに行ってきましたー。

 

きゃー。マリメッコ。

きゃー。イッタラ。

デザインが身近にある世界って素晴らしい!と。

大いに俗世間に呑まれ。大いに買い物をした。

 

そしてフィンランドといえば。

森でしょ。と(←単純)。山の中へも行き。

帰りのバスがない。もしや野宿?

という危機にも。

キャッ。キャッ。と楽しく過ごしていた。

 

実は。これ。

私にとって、何が非日常であったかというと。

都会云々より。

この期間だけ私は一人でなかったのだ。

 

何かを見て。

「ねえ。これどう思う?」

と聞く事ができるという信頼感。

「これ、いいよねー」

と共感を求めることができるという心地よさ。

野宿の危機。となっても笑えるという安心感。

そんな危機。一人だったら世界の終わりでしょ。

それが友人らが横にいるだけで。

笑いに変わるのである。

人がいる。ってすごい。と思った。

 

そう。ここ最近。

私はこの『ドイツで鍛える生活』の終焉が。

見えてきた気がするのである。

この修行は(勝手に修行にしている)結局。

人は一人では生きられない。

と言う事を学ぶための修行だったのではなかろうかと。

こんなフツーな事を発言するのは。

非常に、むしずが走るのであるが。

それを体感する修行だった気がしてならない。

 

『ボクは家族と友人がいる土地で暮らしたい』

これが、7年たっても忘れられないのは。

たぶん。この言葉がどこか真理に近いからかもしれない。

 

人は一人では生きられない。

 

やれやれ。

こんな誰でも知っている。

フツーな結論を得るために。

友達ひとりとしていない土地に送り込まれ。

(まあ。自分で来たのですが

こんなフツーでない生活を送っているのか〜っ。

で。このフツーな結末

なにそれ。

 

妙にシンメトリーなフィンランドの森。

そしてフィンエアーのソルト& ペッパーもシンメトリーなデザイン(←こじつけかしら笑)。 

これまた北欧っぽいデザイン。

3.哀しき欲の構造

『外国に住んでみたーい』

というバカ丸だしの発想のもと。

私は、ドイツに渡ったり。

南半球、オーストラリアに渡ってみたりと。

数奇な人生を過去に歩んだのであるが

 

その外国とやらで何をしていたかと言うと。

30歳にもなってレストランで。 

食器を下げたり、洗ったりする日々で。

気が狂うほどの単純労働。

(たぶん。途中で本当に気が狂っていた) 

自由に働ける労働ビザがなく。

職を探す。という、

スタートラインにさえ立てなかった事もよくあった。

 

ビザが切れる度、外人局と交渉し。

自力で労働ビザを取っていたので。

(労働ビザ。運と情熱で取れたりするもんです)

何でも働ける永住権を持っている人は羨ましかった。

 

そして。いつだって。

ビザに優遇されるのはエンジニアたちであった。

彼らは会社もバックに付いていて。

会社がビザの手配もしてくれて。

羨ましかったが。

まあ。そんな理系な分野は。

自分には関係のない世界であった。

 

というのも。

私は30歳くらいまで。 

たまーに、カメラマンをやっていたのだが。

アナログ人間だったためデジタルは使わず(単に使えなかった)

最後までフィルムで通した。

フィルムでもギリギリ納品できた時代であった。

インストールって何?とか言っているような人には。

デジタルの波には乗り切れず。

デジタルに乗って行こうという情熱もなかった。

そして。写真は辞めた。

海外プータロー生活も辞めた。

 

しかーし。

そんなアナログ人間が。

5年前まで食器を下げたり洗ってたりした人が。

今から数ヶ月前。

ドイツの会社に拾われ再びドイツに来たとき。 

そのビザにはいつの間にか。

QAエンジニア。となっていた。

(私は画像処理ソフトのテストする人)

エンジニアって

お前が?そんなわけないだろー。

ま。本当にそんなわけはないと思っているのだが

 

とにかく。

なんちゃってだろうとなんだろうと。

QAエンジニアという名のもと。

給料から引かれる大量の税金を。

このまま払い続けていると。

永住権がもらえてしまう立場になってしまった。

 

あんなに欲しかった。自由に働ける権利。

今。永住権さえ。

手に入れることが出来る立場になったのであるが。

不思議なことに。手に入る立場になると。

ぜーんぜん。欲しいと思わないし。

なんというか、要らんのである。 

 

まだ東京にいたとき。

あんなに大好きだった外国のシュワシュワの水。

スパークリングウォーター、

ゲロルシュタイナーとかペリエ。

ここでは数十セントで買えるというのに。

全然飲まなくなった。

 

人は。手に入るようになったとき。

もう要らないのだ。と思う。

なんか残念だけど。

 

そして。私は。永住権には目もくれず。  

この『鍛える生活』が終わったら、 

また日本で。

シュワシュワの水を飲みまくるのであろう。

そして。ドイツパンの店とかに行くわけだ。

 

ああ。人の欲の構造とは。

なんたることか

 

4. 網走に夢をみたわけ

えー。いいじゃん。ドイツ。

でも。田舎だよ。リューベックだよ

えー。でもいいじゃーん。ドイツっ!

 

というのが。

ドイツで就職。と言ったときの。

大方の日本女子の反応なのであるが。

(なぜか女性にそういう反応が多い)

これが欧米人の反応となると。

えっ。リューベック?! Oh my God!

村じゃなーい!

東京から?それ普通、逆でしょ。

君。逆行しているよね。

 

という反応なのである。

つまり、東京にいると気づかないが。

言ってみれば。

東京からドイツ、リューベックは。

ニューヨークで働いていた人が。

北海道の網走に就職する。

みたいなもんなのである。

 

別に網走に行くのもいいのであるが。

では。冒頭の女子たちは。

網走でも。えー。いいじゃーん。

と言っただろうか。ということだ。

そして。私は。

網走だったら来たか。ということだ。

 

網走に単身で乗り込んだら。

過酷であるのは大いに想像がつく。

東京には生活の多様性というものがあり。

よって。30半ばで単身でも。

カフェでお茶したり遊ぶ相手がいくらでもいる。

が。田舎では家族中心でそうはいかない。

しかし。

その舞台がドイツの田舎街となった瞬間。

いいじゃーん。と、帳消しになってしまうのは。

やはり。どこかで。

西洋に夢を見ている。ということだ。

 

今の時代。西洋かぶれは格好悪いし。

欧米人と付き合いたーい。

なんていう女子は頭が悪そうに見える時代であるが。

英語をなんとなく話せるようになりたーい。

(これも公言すると頭が悪そうに見える)

と思う人が今でも多いように。

やっぱり。どこかで。

明治維新以降の日本人のDNAには。

潜在的に欧米至上主義が宿っているのではなかろうか。

 

私は。迷った時は冒険せよ。

迷った時は安定を捨てよ。

迷った時は勇気がいる方の道を選べ。

という自分の掟に従って来たつもりであった。

決してドイツに夢を見たつもりはなかったのだが。

しかーし。結局。

自分の根底に流れる西洋かぶれDNAが。

ここに来させたのではないかと思う。

,

クーッっ! ショック

結局。そんな理由か

 

ま。ここに来て。

そのDNAにも変化が見られるのであるが

(その変化とはまた次号で詳しく)

 

ま。来てしまったからには。

やり遂げた感を持った上で。

帰りたいとは思うのであるが。

結局。やり遂げるより、目の前の快楽。

グータラ、youtubeを見て。

ここ。ドイツ、リューベックで。

やっぱり。

網走のように過ごしているわけである。

 

あー。

こんなにyoutubeに人生を捧げてよいのだろうか

 

*: 『網走』とは単なる例えであり、文中に出る『網走』とは東京より遥かに小さく、寒い街の例えとして使っているだけで。『網走』に限らずとも別の小さな街でもよい。

 

5. 西洋かぶれの終焉

えっ。マゲって切っていいもんかいな。

という周りをよそに。

バンザーイ!と村で一番にちょんまげを切り落とし。

ほうーっ!アメリカには掃除機というものがあるらしいぞー。

と聞けば。ほな。うちも。と。

掃除機をさっさと手に入れてみたりと。

そんな逸話が残るほど。

マユゲ家は西洋の香りのするものに弱い。

 

そんな家に育ったせいか。

私も子供のころからバリバリに欧米に憧れた。

中学生のときには。

ブルース・スプリングスティーンのLPをかけながら。

♫ Born in the U.S.A

と、一緒に歌っていた。

で。本来、その歌詞は。

オレは黄色人種を殺すために外国に送られた。

という社会的な詩なのだけれど。

西洋にかぶれた中学生には知る由もなく。ただ。

♫ Born in the U.S.A~ イェ~イ。

だったわけである。

 

しかーし。

現実はBorn in JAPANなわけで

学校では。

やれ。制服が云々とかアルバイト禁止とかいう世界。

もー。日本はくだらん。と思い。

アメリカのTVドラマに出てくる学校がまぶしかった。

 

ベストヒットU.S.Aの世界の方が。

ベストテンより光っていた。

ベストヒットU.S.Aで英語を捲し立てる小林克也のほうが。

ベストテンで捲し立てる黒柳徹子より輝いてみえた。

外国がイケていて日本がダサかった

 

そのかぶれっぷりはしばらく続き。

20代後半で遂に日本を出た。

反アメリカな人々が大半の、

ヨーロッパとオーストラリア住んだためか。

アメリカに対する憧れはなくなり。

悪の中枢~!と。

ジョージ・ブッシュが叫んでいるころには。

この国。アホ教団か。とさえ思っていた。

ヨーロッパの現実も見た。

もう。西洋は憧れでなくなっていた

 

しかーし。やっぱり。自分は。

まあ。日本でいいか。

と思って日本に住むことはあっても。

心から喜んで日本に住みたいって。

思う日が来ることは一生ないと思っていた。

 

前回自分の根底に流れる西洋かぶれが。

この地の果てまで来させた。と述べたが。

ここに来て。

その代々受け継がれた西洋かぶれに。

変化が見られるのである。

 

なんか。もう一生、東京でいい。

って思えるのである。

今ならたぶん。

心から喜んで日本に住める。

ウーン。まさか自分かそんな風に思うとは

もしかして。

こう思えるようになるためにここに来たのか

 

西洋かぶれのDNA

あんだけ憧れた外国。

 

ま。でも。日本に住んだら住んだでまた。

日用品がイケてないとかホザき。

ドイツのエコ洗剤とか。

イキがって買ってそうな気もします。

で。外国のラジオとかネットで聴いてそうだ。

 

なんだ。結局。ビョーキ再発か