序章1: 失業ブルース

参照:これまでのいきさつは まえがき からどうぞ。

2009年夏 - リーマンショックから1年

失業ブルース #1

**** 金融危機の舞台裏 ****

安定した収入と暮らしが訪れると。
このままでよいのかー。
立ち上がれー!と
仕事を辞め、わざわざ不安定な道を選んでいた20代。
最終的には日本も飛び出し。
超不安定な生活をすること4年。
その間、3カ国4都市で暮らし、引越すること12回。
精魂尽き果てて日本に戻ったのが31歳だった。
そんな流浪の民にも救う神あり(<--物好き)。
とある企業に拾われ、契約で働くことになった。

それから4年半、現在に至まで。
ヌクヌクと暮した。
いつも自らに試練を与えていたお前よ、何処へいったー。
という囁きも聞こえなくはなかったが。
そんなの無視。
あー。毎月給料もらえて幸せー。
1ユーロ(120円程度)のシャンプーを買っていたような人間が。
(注: 洗剤ではありません)
1800円するシャンプーを買うようになり。
もー。自分的にはかなりバブリー。
ヌクヌク暮らした。

しかーし。
上空からこっそり見ていた人はしびれを切らした。
いいかげんにせーッ!
もう君は自ら海に飛び込まない。
それでは。私が…。
エイッ!
と、海に放り込んだ。

 

これが私の派遣切り。失業じゃ。

表向きは世界の金融危機の影響がここにも。

ということだが…しかし。
表舞台はもっと大仕掛けで仕組まれたものなのです。

まあ。ありがたく海で泳ぎます。

辿り着くのは何処へやら。

 

 

失業ブルース #2

**** 勝手に葛藤 ****

会社に行かなくなって2週間。
とりあえず仕事もなさそうだし…。
毎日ギターの練習だー。いいのかー!
と不安ながらもウキウキしていたのだが…。
軽い気持ちで声かけていた会社から返事がきてしまった。
履歴書を送れと…。
しかーし。
その会社というのはドイツの会社。
ドイツで働くわけだ。

ウー…。
5年前だったらなあ。迷わず行くのだが。
ウー…。あの過酷な生活がまた始まるのかー。

というのも。
私は過去、鞄一つで勝手にドイツに引越したのだが。
仕事があるわけでも、学生なわけでもなかった。
数年居続けたものの生活は散々で。
最終的には色々な意味でゲルマン生活に負けて帰って来た。
だから。仕事があり呼ばれて行くのは憧れであった。
しかーし。ウ~ッ…。今更ドイツか…。

もー。一人ではいてもたってもいられず。
毎日、人を呼び出してはお茶かランチ。

「 日本でヌクヌク暮らしたいよー。でもーっ!
人間、過酷な道を選ばないと面白い人なんかになれなーいッ!」
(↑誰も女に面白さなんて求めていない…)
「もー、マユさん、もう十分面白いからッ!」
「ドイツは辛ーい!いやだーッ!」
「じゃあ。行かなければいいじゃん」
「ウー…。平凡な道は選べない。冒険と苦行は買ってでも得ねばっ」
「もー。マユさん、それ。ハードコアすぎるからッ!」

というような会話をここ1週間以上、
毎日、人を変え場所を変え繰り返し大騒ぎ。
で、ふと友人が言った。
「ちょっと待って。まだ履歴書送ってないんでしょ。送ろうよ。それから考えようよ。落ちるかもしれないしさ」

あー。そうであった。
履歴書も送っていないのに。
勝手に毎日大騒ぎしていた。

面白い人間になるのが目標か。
そして。面白さは、
やはり色々な経験と哀しみと過酷な道を通って得られるのか。
そして。
それは笑える過酷か。 (参照: 正しき試練の選び方)
でも。平凡な生活だって過酷ではないのか。

あー。先に履歴書ね。
ハイハイ。

 

失業ブルース #3

****面接到来 ****

ドイツの会社から履歴書(CV)を送れと言われて以来。
1週間、一人で勝手に大騒ぎ。

はて。英語のCVって…。というわけで。
またまた大騒ぎすること数日。
見よう見まねでなんとなく完成し送付した。
最後に。質問があれば何なりと email か telephoneで。
と書いたのだが…。

実は。うちの電話というのは。
番号ディスプレイとか留守電とか。
そういう機能がなーんも備わっていない電話なのである。
プラス。あんまり聞こえない(←既に電話でない)。
日本語なら、まあ。勘で話せるけど。
といったレベルの電話機なのである。

なもんで。
その日以来、電話が鳴ると。
ヤバイッ!これはドイツかー?ということで。
電話すべて無視!(←コラッ)
そんなエキサイティングな日々を過ごしているうちに。
今度はホントの返事がメールで来た。
1週間後にskypeでビデオチャットで面接します。と。

その日から1週間。
ひぇ~ッ!というテンションのまま。
job interview Q&A を調べ、答えを用意、人も巻き込み。
またまた1週間大騒ぎ。

えっ。
ところで。スーツ着るんかいな?
いや、自分ちでスーツ着てたらバカでしょ。
あんたんち畳だし。床生活だし。あの部屋でスーツ?
え~~っ。

とか言っているうちに本番到来。
テンパリは極地。面接は夕方だというのに。
朝6時からずっと想定問答を一人でブツブツ。
もー。無理!英語で面接なんてできなーい!
(↑何か間違っている…)
ということで。
カンニングペーパーを用意した。
フフ。相手はまさかこんな状態でしゃべっているとは思うまい↓

 

ところがっ。
こんなに用意したにもかかわらず。
この中のものはほとんど聞かれず…。

ま。そんなもんです。
やはり。世の中。
想像したことは起きないか…。
(参照:(続2)自説:想像したことは起きない)

次は別の人と面接第2弾とのこと。
もしや。
これも、想像してるから起きないのか!

 

 

失業ブルース #4

**** 面接第2回目****

ドイツとskypeでの面接第2弾。
テンパる日々は続き、本番到来。
朝6時。ムクッと起き上がると。
昨日書いたあんちょこ↓
With my knowledge and experience, I believe that I can .....
を思い出しながら、声を出して復唱!
「ウィズ マイ ノウレッジ エンド エクスペリエンス, ....」
えーっと。なんだっけ?
といった感じで。一日中ブツブツ。
昼も食わず、狭い家を無用にウロウロすること10時間。

skypeの接続を最終確認する。
接続よーしっ! 音声よし! ビデオよーしっ!
面接まであと15分…。もうどうにもならん!
なぜかギターを手に取り、かき鳴らす。
そして。本番5分前。よっしゃー!PCの前に正座。
skypeにログイン!

<サーバーに接続できません>

ガーン…。skypeのサーバーがダウンしている。
えっ…。

何か想定外のことが起きるのがこの世の常であるとは思っているが。
ちゃんと接続チェックをしている人に、
普通。こんな仕打ちをするかぁ~?
ジタバタするも効果なく、あー。これまでか…
と諦めかけていたころ。約束を15分過ぎたところで。
フフフ。と、ほくそ笑んで上から見ていた人がイタズラを直した。
ビュイ~ンとログインの音がなり。
サーバーが復活。面接開始!

カンペをチラチラ見ながらテキトーに答えること1時間。
「じゃあ。君にちょっとしたクイズをやってもらおうかな」と。
えっ…。そんなのカンペにない…。
「ボールが8個と天秤があります。天秤には目盛りがありません。君はどうやって…」
もー。無理…。しどろもどろになりながらも答えると。
「じゃあ。もう一つクイズね」
ガーン。
という状態で。1時間20分もかかり。
面接は終わった…。

ウーン。出来は悪いし雇われる保証は何もないのだが。
なぜか。海を超える引越に向け。
現在、ガシガシものを捨てている(<--かなりおめでたい)
と、同時に。
八百屋のパート募集。時給950円。
なーんて張り紙が妙に気になり…。

あーっ。もっっぉーっ!
運命が極端すぎる…。究極の分かれ道!
と毎日勝手に緊張している。

 

 

失業ブルース #5


**** 無資格バンザイ ****

結果が来ないなー。と。
やきもきする事、数日。
来たー!メールが…。

"job offer"
君が私たちのチームに入るのを楽しみにしている。

おおーっ。
決まってしまった!
受かってしまった!

面接はカンニングペーパーをチラ見だし。
職歴もフリーカメラマン(←自称)とかあり、怪しげ。
履歴書の語学力は。
英語: 上級
ドイツ語: 中の下 
TOEIC: xxx点とか資格を全く何も持ってないので。
勝手に自己申告。
何をもって上級なのか全く意味不明。
こんな状態で外国の企業に呼ばれるなんて。
まあ前代未聞。

でも。
何かをしようとするとき。
前例がないからダメ。ってよく言うけれど。
私はそーゆのは大嫌いなのだ。
だって。
何事にも前例はなかったはずでしょ。
前例は『あるもの』でなく『作るもの』なのだ。

よし。これで。ある程度の前例は作った(<--大げさ)。
カメラマンって資格あるの?
って言ってしまう資格好きの世の中に対して。
資格さえあれば安心っていう社会に対して。
無資格バンザイ!

そして。
人は資格なんかで測れないんじゃー。
ということをさらに証明するために。
わたしゃ、すぐクビになるわけにはいかんのだが…。

でも。
行ったら実力がバレちゃう…。カンペないし…。
3ヶ月の試用期間中にはバレまくるが(<--詐欺でしょ)。
今更どうにもならん。
とりあえず。
ゆけー。ドイツへ。行けー。

無資格バンザイ!

 

失業ブルース #6

**** サインの練習 ****

job offerに同意したので。
契約書が送られてきた。
が。ぎっしりドイツ語5ページ。
ガーン。わかんない。
辞書で調べ始めると。
なぜか急に家の汚さが気になり…。
早く送り返さないとーッ。と思うものの。
いきなり大掃除開始!

契約書の解読になぜか掃除から始め、
辞書引きまくること2日目。
ま。なんとなく読んだ気になり。
とりあえず。サイン。

しかーし。
これから死ぬほど書くであろうサイン。
簡潔、且つ毎回安定したサインでなくてはならない。
雇い主の方のサインを見ると。
なんだかすごい崩れていてちょっとカッコイイ。
そうだよね。
律儀に書いたら真似できるし意味ないよね。
とか自分に言い聞かせ、
崩す書体をあーでもない、こーでもないと書いてみる。
しかーし。本当は。
えー!私もーっ!格好よく書きたーい! ←バカ。
ってだけのことで。
ひたすらサインの練習。

ンー。まだまだ崩し方が足りん。

とりあえずサインした。
これにて。就職決定!
失業ブルース完。

 

p.s. 次は引越ブルースか。
就業開始日は12月1日。しかし…家がありませーん!

 

失業ブルース あとがき:

#1から#6(完)まで、2009年9月9日から10月19日までの

ほんの1ヶ月半の出来事でした。

この時は大きなうなりに片足を突っ込んだ認識はあったものの。

その渦の中ですさまじく溺れるなんてつゆ知らず…。

ま。2年くらい行ってくるか。苦行じゃ。

というくらいの認識であった。

そして。ここからは。

目先の目標、はて『海を超える引越し』ってどうすんかいな?

という謎解きに挑むのでした。

海外赴任じゃないし、大企業でもないから引越の手配や

引越し代なぞないのですねえ。自力。自力。


続きはシリーズ 

ドイツへ引越し (これもまだ序章)。

 

本編から読みたい人はドイツで鍛える生活