迷走記

ドイツ就職珍道中「ドイツで鍛える生活」が終わり、ドイツに色んな意味で負けて帰ってきたマユゲ。日本に戻ったはいいが、人生完全に白紙…。そして、事実は小説より奇なり。意外な結末を迎えるまでの日本就職ストーリー。迷走記『まえがき』から順にどうぞ。

 

6. 船に乗った〜!

人生。大海原に落っこち、

溺れる寸前だったものの。

なんとか。通りがかりのゴムボートに飛び乗った。

そう。やっとのことで。

短期のデジカメテストのお仕事を掴んだのが前回。

(参照: 迷走記 5巻

 

今回のお仕事は。

前回、3日でそそくさと退散したスーパーの立ちんぼの仕事より、

(参照: 迷走記 4巻

100倍楽で時給は倍近い。

世の中って。やっぱり、基本、理不尽で。

テキトーなものなのかもしれない。

 

しかしこれ。

1週間の期間限定のお仕事なので。

また。次のボートなり、

船に飛び乗らなくてはならない。

 

で。日課のごとく。

派遣の仕事をチェックするのであるが

見ていると、社員よりハードルが低いとはいえ、

現代の派遣というのも、なかなか要求が高かったりする。

 

  * * * 派遣仕事内容 * * * 

製品の仕様検討、仕様作成(ミーティング参加)

海外出張あり。CADを仕様して設計。

試作品の作成、量産立ち上げ、

部品メーカーへの部品調達。

部品検査、生産ライン構築、

生産ライン従事者への指導。

      * * * 

 

はあ。当然、応募条件としては、

これらの経験が年以上ある人。

となっているわけであるが

えーっ。これ、派遣ですか~?といった調子。

仕様作成して、設計して、海外出張して、

生産ラインに指導しちゃっていいのー?

某大手メーカーさんよー。派遣だよー。

じゃあ。社員は何処にいるの~?

 

まあ。確かに。

社員というのは、色々と権利などもあり。

簡単には辞めさせることができないので(1)

会社とって、社員を取るということはギャンブルである。

*1: 大手になればなるほど組合などがあり、この傾向は顕著になる)

 

そういえば。

10年以上前に働いた某大企業では。

『島流し部署』なるものも存在し。

問題ある人はそこに流し、遊ばせる。

という会社もあった。

 

ま。そんなこんなで。

日本は。派遣大国なわけであるが。

派遣の応募条件を見ても。

条件に当てはまるものが自分に何もなく。

ウーム。と。途方にくれていた。

 

しかーし。ツキというものは不思議なもんで。

来ない時は来ないのであるが。

来る時は来るのである。

 

ひたすら落ちまくっていたのに。

派遣会社から数件、仕事の話が舞い込んで来るようになった。

 

おお。やっぱり。

あのゴムボートに飛び乗った時。

何かが近くまで来ているという勘は。

間違いではなかったのだ。

(参照: 迷走記 5巻

 

ああ。もしや。ここは。来たぞー!キターッ!

 

そう。たくさんの船が往来する海域に。

やってきたのだー。嵐は去ったのだー。

やったー!やったー!

 

そして。遂に。一つの船に飛び乗った。

乗ったー!アハハー。乗ったぞ~!

 

しかし。その船。実は。

2年前に。私を突き落とした船であった

 

なんと。そこは。

2年前にリーマンショックの影響で。

私がクビになったところ。

 

なんと。同じ上司。同じ仕事。同じ同僚のもと。

2年前と同じデスクに座ることとなった。

そして。再び。

ドイツの皆とやり取りすることになるのだ。

 

コンピュータの向こう側には。

『さようなら』したはずのドイチランド。

『さようなら』したはずのリューベック。

そして。あのドイツの皆がいるのだ。

 

ウ~ム。

一体。誰がこの結末を想像できただろうか?

 

   * * * 勤務初日 * * * 

 

2年という月日

失業ブルース

ドイツへ引越し

ドイツで鍛える生活

 

もー。盛り沢山すぎて10年分くらいに感じる

海をまたいだりして、引越しも2年で4回した。

 

会社のIDカードをもらい、首にかけた。

デスクに座った。この席、おなじみである

右を見ても、左を見てもおなじみの顔。

後ろを見ても同じ人。

2年前となに一つ変わらぬ日常がここにある

引き出し開けたら2年前の自分のノートも出て来た〜!

なんだこれ?!

 

はあ。私のこの2年は一体…なんだったのか~!

神様のきまぐれ修行プレイか!?

 

                * * *

 

課総勢、30名が集まる前、課定例にて挨拶。

「古くて新しい人がいます。じゃあ。マユゲさんから挨拶を」

と振られた。

 「えーっと。まあ。2年ぶりで

端から見ると産休だったのかしら?って感じで 

まあ。産物はないんですけどね

 

シーン。スベった。

自虐ネタでスベるという、一番やってはいけないことをした

 

ともかく。なんだかよくわからんが。

暗黒時代が終わった。

架空出勤よ。さようなら (参照: 迷走記5巻

リアル出勤よ。ありがとう。

 

明けない夜はない。

止まない雨もない。

 

そして。永遠に続く晴天もない

 

ガーン

ま。行けるところまでこの船でいきますか。

 

おわり

 

p.s. さーて。仕事が見つかったので。次は家探しだー! 

ガンバルぞー!オーッ!