迷走記
ドイツ就職珍道中「ドイツで鍛える生活」が終わり、ドイツに色んな意味で負けて帰ってきたマユゲ。日本に戻ったはいいが、人生完全に白紙…。そして、事実は小説より奇なり。意外な結末を迎えるまでの日本就職ストーリー。迷走記『まえがき』から順にどうぞ。
3.やけっぱち期到来
前回のお店ブームで(参照: 迷走記2巻)。
頭おかしい真っ盛りに、
色々な所に送りつけた履歴書が。
ポロン、ポロン。と。
毎週のように戻ってきた。
これ。返ってくると。
なんだか。ものすごーく恥ずかしい。
あちゃーっ。そういえば。
こんな所、送ったよねー。と思ったり。
あー。まあ。そりゃそうだよな、不採用よね。
とか思ったり。もう毎日が、アチャチャチャ~っ。
というかんじ。で。さすがに、考えた。
だいたい、いい年こいて。
やりたい事とか、好きな事とか。夢とか。
アホじゃなかろうか。
ムムっ。これは、青春ノイローゼ(注1)だ。
そうだ。諸悪の根源は。
夢とか希望とか、理想じゃなかろうか?
(注1)みうらじゅんが提唱したビョーキの名。否定的な意味で、
いい年こいてまだ『青春』を卒業できていない大人のこと。
もっと違う可能性とか。今までと違う人生とか。
自分にはもっと出来る何かがある。
と思っているビョーキ。
しかしそれは。私たちが、20代のころ。
実は。誰もが持っていた、
『青春』という、ある種のノイローゼ。
が。それは年と共に薄れ。
30代ともなれば。ノイローゼを実現できた人は。
いわゆる『成功者』であるが。
ノイローゼを実現できなかった人は。
等身大の自分を受け入れることになる。
で、ここで受け入れることができた人も。
ある種の成功である。
しかし。私は。おそらく。
この辺りの移行を失敗している。
そうだ!諸悪の根源は。これだ!
自分に何かがあると思っていること。
夢とか希望とか理想が。
人を不幸にしているのでは?
* * *
テレビをつけると。
『あなたに夢はありますか?』
というテーマをやっていた。
コメンテーターは中村うさぎ。
彼女は言った。
「だいたいねえ、夢とか言ってるんじゃねーよ。
夢なんて捨てちまえ!
人にはねえ。追いかけてよい夢と、
追いかけちゃいけない夢があるんだよ!」
ハハーッ!うさぎさま~。すみませんっ!
* * *
自分には出来る何かがある。という幻想。
自分にはもっと可能性がある。という妄想。
自分にはやりたい事がある。という理想。
よしっ!私はそれを捨てる。私にはなにもない!
とある外資の体力&単純労働系に応募した。
そして。面接した当日。合格の連絡。
ちょっと不安になって、
○○社、仕事。とかネットで調べてみてみると…。
あんなところで働く奴らは、クズだ。
どこにも行くところないから、
あそこで働いてんだろ。とか…。
ヒョ~っ。もう。すんごい言われよう…。
しかし。クズ。
これぞ私が望んでいるものではなかろうか?
わたしは自分をクズと思い。クズで満足したい!
私は貝になりたい!いやちがった。
クズになりたい!
(↑こう言ってる時点でクズと思っていないわけで…おこがましい。)
そして。勤務日は来た。
やっぱり、人間。クズになるのも。
無欲になるのも大変で。
煩悩には。なかなか難しかったのである…。
次回はそのびっくり勤務を。
続き:迷走記 4巻